俗に言う二択とは、フレーム差をベースに打撃と投げの択を迫る考え方であり、
割りこまれない打撃、しゃがまれない投げを状況と用いる技のチョイスによって両立させることで成り立つ戦術である
というのは前回の記事冒頭で述べた通りです。
では、それを踏まえた自分の選択肢を顧みて
「二択が成立しているか」「二択が仕掛けられているか」「二択が機能しているか」
というような疑念、疑問への回答がどういうものになるのかと言えば、
投げが相手にとってのリスクになっているか
この一点に尽きるのではないかと思います。
今回はそのあたりの話をシステム面から解説していきます。
まず、打撃の振り方に関しては例外は多々あれどあまり難しく考える必要はありません。
場面ごとに生じた有利フレームに応じて、最速の小技である発生12フレームの2Pに割られない中段を選択するだけです。
+2であれば発生14フレームの肘クラスの打撃を、+5ならば発生17フレームの膝クラスの打撃を。
この「割られない打撃」という前提を踏まえた上で、あとはそこにどういった保険をかけていくかが選択の基準となります。
・相手の避けを読んでの回転属性持ち
・手技捌きを潰すための足、膝、肩属性打撃
・バックダッシュを咎めるためのミドルキック
などがそのような保険の代表的なものになるでしょうか。
あるいは、
・2Pの割り込みは必要経費と割り切ったリターン重視の遅くて重いコンボ始動
・展開を早めつつ攻めの継続を視野に入れたガードされても有利な上段属性
といったセオリー破りの妥協を含んだ選択肢が加わってくるようになったりもしますが、
ここまで来ると「読み合い」と同時に「組み立て」を考えなくてはならないので攻防の基本からはやや遠ざかってしまいますね。
この辺はまた別のテーマの記事にて触れてみたいと思います。
とりあえず打撃の振り方については、
相手の2Pに割られないコンボ始動の中段
が最優先であり、それが出来てさえいれば二択の一端を担えていると考えていいでしょう。
続いて投げの振り方について。
こちらはシステム的に見ると単純なのですが、人間相手ゆえに難しくなっている部分と言えます。
ポイントとなるのは相手側から見て-5までと-6以降とで変化する対応の仕方。
フレーム上-5までであればしゃがダを用いたファジーガードで最速の投げはしゃがめるし最速中段はガードできる、
というのはもう口が酸っぱくなるほど語りつくされている攻防の基礎です。
実際これを機械的に行うだけで鉄壁と呼べるようなディフェンスが完成するわけでして、
であれば攻める側としてはリスクを抑えるために‐5までで済む組み立てをどう作っていくか、
みたいな話にも繋がっていくのですがこれもまた脱線しすぎなので別の機会に。
ここで大事なのは、
いわゆる屈伸とは投げそのものを無効化するためのテクニックであり、
そして投げ抜けとは三分の一の確率で成立後の投げを回避できるだけのシステムであるという点です。
言い換えれば「投げ抜けを入れていても三分の二の確率で投げを通されてしまう」となるこの性質の意味するところからは、
投げ抜けを主軸に投げへのケアを行うのはかなり分が悪い賭けになると結論付けられます。
投げへの対処として最初に思い浮かびがちなのが投げ抜けではありますが、
実際の立ち位置は他の防御行動に合わせて仕込める保険でしかない、くらいの表現が正確な評価ではないかと思います。
ここまでを踏まえれば、-6以上の屈伸が不可能な状況で仕掛けられる投げが大きな脅威となるのはもう理解できるかと思います。
そして、この状況で投げを無効化するには攻撃判定のある技を出すしかない。となればそれを潰せる打撃が投げと対の選択肢になる、
という形がおのずと出来上がるわけです。
嚙み砕いた言い方をすれば、
「無効化できない投げでビビらせて打撃を誘い、それを潰す打撃でビビらせて避けやガードを誘い投げを通す」
この構図を描きつつコントロールを握ることこそが二択の定義であり、
今回のタイトルへの回答となるかと思います。
こういう話をすると「守護るとはなんなのか」とか「投げとはなんなのか」とかもやらなくちゃダメそうな気がしてきました。
「攻めるとはなんなのか」みたいなことも書いた方がいいいのかな、とか思いつつ今回はここまで。