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手癖とはなんなのか

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kan
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前回の記事でも触れていた手癖についてこの記事では掘り下げていきます。

格ゲーにおける「手癖」とは「行動パターン」とも言い換えられるでしょうか。
どちらかといえば良い意味では用いられにくい単語かと思われます。

VFesでそういった手癖の具体的なものとしてはまず、

・相手の2Pを食らったとき、とっさに2Pを撃ち返してしまう
・技を避けたあとに肘しか出せない、なんなら成功避けが出ると肘を入れ込んでしまう
・とっさの場面では投げ方向がいつも同じ、また立場が逆転したときに入れられる投げ抜けがいつも同じ
・展開が早くなってくると避けが上ばかり、もしくは下ばかり


などなど。
例を挙げれば枚挙に暇がありませんが、これらはおそらく誰しも一つくらいは身に覚えがあるものではないかと思います。
どれもバレてしまえば対策は容易なものばかりで、だからこそ行動を分散させなくてはならない、
というのが攻防のセオリーであり基本的な考え方です。

しかし、こういった考え方に基づいて相手と読み合うのは案外先、かなり上のレベルになってからなんですね。
なぜなら初心者~中級者帯においては自分の手癖に相手の手癖が噛み合うことで勝敗が決するケースが非常に多いためです。
上記の例で言うと、

・相手が2Pのあとに撃つ手癖のアッパーにこちらの2Pが刈り取られる
・避けられても構わず出され追ってくるディレイの派生に入れ込みの肘を潰される
・とっさの場面の投げ、投げ抜けの方向が決まっているので自分の投げは一生通らないし相手の投げは永久に抜けられない
・投げ抜け後等、足位置が決まってるところで同じ半回転をお腹いっぱいカウンターでもらう


みたいな感じ。
こういった起こるべくして起きている事故に気付けなかったり、気付いても行動を変えられないのが初心者
経験則から起こり得る事故を避けることはできても、相手にリスクを負わせるところまではいけないのが中級者
くらいのイメージですが、どうだろうここはちょっと自信がないけどまあとりあえずそういうことに。

他にも相手のリオンが下段全回転をいつも撃つところで自分はぼったちで固まるのが手癖になっていて全食らいだとか、
肘を避けられて手癖で避けキャンしたら相手のブレイズが手癖で上段全回転を出していて毎回悲惨なことになったりとか。
このようなダメージの大半が読み合いを介していない、ある種作業的な内容の試合が未熟なうちは多く見受けられます。

この戦い方で試合数を重ねていっても多くの場合下位~同クラス相手には勝ったり負けたりで、
上の相手には最初の数戦いい勝負ができたとしても試合を重ねるほどに黒星が増えていくものと思われます。
上級者相手にそうなる理由は手癖が読まれて対応されるからですね。これはまあ至極当然の結果と言えるでしょう。

問題は同格以下の相手の場合。
手が読まれてそこを突かれているわけでもないのに勝てない相手というのが、腕前を問わず間違いなく現れます。
理由は単純に手癖の相性が悪いというだけなのですが、やっかいなのはお互いがそれを意識しているとは限らない点。

読まれた癖を潰されている状況というのはおそらく誰でも理解できるようになっています。
特に上級者は、対戦相手にわかるよう狙いすましてインパクトのある痛い手をそこに置いてくるものなので。
だからこそやられた側はリスクを認識し、以降の行動にも萎縮が生まれます。いわゆる「わからせ」られた状態です。

対して手癖のぶつけ合いは、相手の意図が見えないがゆえにそこらへんが不明瞭になりやすいんですね。
自分の動きが通じていないのを感じとれていようと、行動を変えようにも何をどうすればいいのかがわからないわけです。
これは言うなれば、そこらに転がっている石に自分から勝手に突っ込んでつまづいているような状態であり、
つまるところ読み合い以前の話なので、まず向き合うべくは相手ではなく自分自身ということになります。

で、結局のところ「手癖」の問題点とは、

・行動を変えられない
・良し悪し問わず結果から原因を見出せない


この二点に尽きるわけで、どちらも行動に意図を巡らせ目的と原因を明確にできるようになれば解決に近づきます。
ゆえに手癖の内容どうこうはあまり問題ではありません。分析と反映が可能ならば自ずと修正されていくものなので。
そして上記の二点は人間同士の対戦において、

・選択肢の意図が明確でないゆえに勝った理由も負けた原因も分析しづらい
・リスクを負う読み合いに行くのが億劫になり、お願いに頼るようになる


のように作用します。
前者はすでに述べた通り、勝負どころがあやふやなせいで反省点を見つけにくいのが一つ、
そのせいでいつまで経っても二択の概念、その重要性が実感できず身に付かないのがもう一つ。
後者は石の例えで言うと、「あの石につまづいてくれないかなー」みたいな思考になってしまうということです。
いくら願おうときちんと足元を見る人は転んでくれません。ちゃんと相手の顔面目掛けて石を投げましょう。

そして似たようなことはこれまでに何度も書いてきましたが、

システムに沿って見出した勝負所で、リスクリターンの両方を踏まえて相手の手札に自分の手札をぶつけに行く

ことが読み合いには必要で、であるからこそ以降の対戦にも行動が反映できるようになります。
これができないと、例えば2Pを擦ってくる相手に対して肘を撃てばいいところをジャンプキックで刈りにいくような
いわば潰しの効かない行動を取ったりして、そしてそこに疑問を抱くことさえ出来なかったりもするわけです。
他の意図が含まれているならともかく、「2Pを潰す」という一点のみが理由ならばあまり適切な選択とは言えません。
そうならぬようにリスクとリターンの両面を幅広くとらえることが順序を踏んだまっとうな上達には肝要であり、
このプロセスが身に付いてきさえすれば、俗に言う「丸い」選択肢にもおのずとたどりつけるようになります。


対戦中こら勝てんわとなっても後々動画を観返したらいやそりゃ勝てんわここがダメだろ、みたいになるものです。
はたから見れば一目瞭然であってもリアルタイムの主観では気付くのが難しいのは誰であってもそうで、
だからこそ選択肢には意志と目的を込め、結果良し悪しどちらであってもその原因を明確にし、
思考と行動に反映していくことこそが効率的な成長サイクルとなります。


今回はここまで。
次は手癖とどう付き合っていくべきかみたいな話になる予定。
更新日時:2023/01/12 21:40
(作成日時:2023/01/10 19:20)
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