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手癖をどう味方につけるべきか

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kan
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前回の記事を踏まえながらまずは前置きから。

普段自分が対戦で使用している浮かせ技からの最大コンボを一つ想像してみてください。
その最中、例えば「浮いたからまずPを当てて、それからバウンドさせて…」みたいなことを考えているでしょうか?
おそらくそんなことはしていない、というかそういうのが頭をよぎった時は大概失敗しているのではないでしょうか。

実用レベルになっているならば考えずともレシピ通りの操作をこなせる程度には手に馴染んでいるはずで、
連なる入力は動く手に委ねたまま思考はすでにコンボ完走後の展開に向いている、というのが
多くの場合において通ずる流れと言っていいでしょう。

その一方で、浮かせた相手をボコボコにしながらも壁やステージの切れ端がキャラの前方に見えていたら
ダメージの大きな技で壁にぶつけたり、リングアウトを見据えて前に大きく吹っ飛ばす技を選択する、
というような分岐も、これまた多くの人が特別リソースを割くこともなく自然に出来ているはずです。

このように、
思考を経由することなく決まった手順をこなしつつも、それとは関係のない別の思考を並行して走らせる
という作業を誰も皆、当たり前のようにリアルタイムで行っています。


もう言うまでもないとは思いますが、つまりコンボとは手癖で行うものであり、
レシピをその都度脳内再生しながら行動に反映しているわけではありません。

覚えた知識をインプットと同じ形でアウトプットするのは非常に効率が悪いと言わざるを得ず、
そのやり方ではメモリがなんぼあっても足りなくなるのが当然です。
なので方法は人それぞれにせよ、過程をいい感じに省略してうまいことやりましょう的な効率化を
意図的であるかどうかは問わず、ある程度ゲームに慣れたプレイヤーであれば誰でも普通にやっています。

そしてその副産物になるような形で、手の空いた思考リソースを他に振り分けることがコンボ自体の拡張性だったり、
また起き攻め、受身攻め等を含めた汎用性などにも繋がってくる
わけです。

当然ながらこのお話は別にコンボだけに限った話ではなく、例えば足位置の判別。
「足位置は画で覚える」という説明を聞いたことはないでしょうか。この界隈ではよく見かける言説です。
これも「お互いどちらの足を前に出しているか」をそのまま記憶して基準にしよう、みたいな話じゃなくて、
足だろうが姿勢だろうがなんでもいいけど見えている絵面と引っ張り出す行動にちゃんと関連付けをしよう、
ということなんだろうと。
足位置を見て変えるのではなく、見えた画の足位置と選択肢をあらかじめ結びつけておく、とでも言えばいいのかな。
最初にした話の壁近いから当てたろ!とかを考えずともやれてるのと同じ。たぶん。

前回述べたところで言う「コントロールの効く手癖」の概念を体現しているのがまさにこの状態であって、
そしてそれが難しい理屈の上に成り立つものではないこともこれで理解できるのではないでしょうか。

知識のインプットは動画でもちろんいいのですが、技術へと昇華させるにあたってはそのままじゃメモリ食い過ぎなので、
トリガーとなるスクショを一枚用意してそれにパッケージ化した手癖ファイルを紐付けておく…みたいな説明で大丈夫かな…


思考を経由しない行動は攻め、守り問わず最速が求められるあらゆる場面で特に武器となります。
そしてそれを応用の利かない単なる手癖たらしめないためには幅広い想定が必要となり、
いずれその幅のキャパシティこそが上達のそれと比例するようになります。
やってるうちに学んだことの使いどころも身体が覚えてくれるだろう、ではなく、
学んだ行動が活きるシチュエーションを先に決めておく
ことによって
結果的には無駄のない学習に、ひいては効率的なレベルアップへ繋がっていくと言えるでしょう。

ちょっと話はずれるかもですが、俗に言う「反応のいい人」って
見てから反応してその場でどうこうできるアドリブ能力の高い人、みたいなのをイメージしがちですが、
実際のところは、他より多くの想定とそれらの処理に長けた人の方がずっと多いんじゃないかなーとか思ったり。
高確率で下段ガードしつつも確反最大とかいちいちその場で考えながら何十試合もやってらんないでしょう

そうだ次は確反の話をしよう
作成日時:2023/03/27 18:26
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